遠方視力検査では、遠くが良く見えていない「近視」は発見されやすいのですが、「遠視」などは発見されにくいのが現状です。
軽い遠視で、調節力が充分ある場合にはあまり問題にはなりませんが、中には黒板は良く見えていても、本がボヤけたり、目が疲れるなどの症状がでることがあります。
遠視の眼は近くを見る場合にピント調節が余計に必要になるため、近方視の多い勉強に支障をきたすことがあります。
よく見えていないことが原因で、読書嫌いや勉強嫌いになったりする子もいて、それを先生や親から「やる気がない」などと誤解を受けるケースさえあります。
近見視力検査は、こういった近くが見えにくい児童生徒を発見し適切な対処をするためにはどうしても必要な検査です。
桃山学院大学法学部教授 高橋ひとみ先生による2000年度の調査では、小学生522人中、遠方視力が「1.0以上、異常なし」にもかかわらず近方視力が0.7未満の児童が5人(1.0%)いました。
最近ではパソコンの授業も導入されるほど、近見が多い学校教育では遠見視力検査のみではなく、近見視力検査の導入がより必要になっています。
一般的には「遠くが見えれば、近くも見えるはず。」との思い込みがあり、問題視されない現状ですが、高橋先生は、現在、東京大学付属校での調査を通し、近見視力不良者の存在と学習能力の関連を明らかにすることにより、近見視力検査の早期導入を目指しています。
「よく見えていない」ということは、多くのことを吸収して心身ともに成長していかなければいけない時期には大変な障害になります。

子どもの近見視力不良〜黒板が見えても教科書が見えない子どもたち / 高橋ひとみ著
http://shop.ruralnet.or.jp/genre.php?mode=detail&id=011402&b_no=01_4540072447
なんとなく「子どもに遠視はない」となぜか私も思いこんでいました。
眼疾患以外の機能的障害の検査・処方をする専門職のオプトメトリーはアジア諸国でも制度化されていますが、日本では取り残されているのが現状です。
日本の構造的問題が障害になっていて取り残されている状態です。
きっとそのために、いろいろとご尽力なさっているのでしょうね。